― ロング王者が示した「真の二冠」、学生オリエンテーリングの頂へ ―
2025年3月14日、学生オリエンテーリング界の王者を決める舞台となったのは、三重県伊賀市・青山高原。
この日、日本学生オリエンテーリング界の主役は、誰の目にも明らかだった。
ES関東クラブ所属、今年東京農業大学(オホーツク)の最終学年をむかえた、寺嶋 謙一郎選手。
2025年度 日本学生オリエンテーリング選手権大会:男子選手権ミドルディスタンスを、後続に2分以上の大差をつけた37分03秒で見事優勝。
2023年度インカレ・ロングディスタンス優勝。そして今回のミドル制覇。
これは単なるタイトルの積み重ねではない。
「学生オリエンテーリングの頂点に立つ選手は誰か」
その問いに、疑いの余地なく答えを突きつける勝利だった。

選ばれた者だけが立てる極限の舞台、伊賀青山高原
過去のインカレなど、数多のオリエンテーリングの名勝負の舞台となってきたのが、今回のテレイン青山高原である。
そう、標高200〜450m、尾根と沢が複雑に絡み合い、急峻な斜面が連続する難テレイン。
一歩の判断が命取りになり、一瞬の集中切れが3分のミスとなり、優勝戦線から離脱を宣言される。
この舞台は、速さだけでも、技術だけでも、精神力だけでも勝てない。
インカレミドルとは、すべてを兼ね備えた選手だけが制する競技だ。
そしてこの日、その条件を最も高い次元で満たしていたのが、寺嶋謙一郎選手だった。
レース序盤:スタート直後から放たれた「王者の気配」
△→1→2。
尾根辿りから直進へ切り替わる、インカレらしい神経を削る立ち上がり。
寺嶋の動きには、当日の天候如く、一切の曇りがない。
迷わない。慌てない。かっぱえびせんではない。
正確な読図とマップコンタクトで、淡々と前へ進む。
続く 2→3。
多彩なルート選択が存在し、毎年大きなタイム差が生まれる勝負レッグ。
ここで寺嶋は、「このレースを勝ちに来ている」 ことを、はっきりと示した。
淀みのないレース運びで、上位レッグタイムを刻み、序盤にして、優勝争いの重心はすでに寺嶋へと傾いていった。
レース中盤:天王山は6→7だった
レース中盤にて、このレース最大の山場をむかえる。
大きく分かれるルートチョイス。
フィジカル、ナビゲーション精度、すべてが試される 6→7。
ここで寺嶋は、圧巻のレッグ1位。
誰よりも速く、誰よりも正確に、誰よりも強く。
この瞬間、「今日の主役は誰か」その答えは、完全に決まった。
以降のショートレッグ連続区間でも集中力は一切揺るがない。
ファインナビゲーションを要求される難所を、まるで当然のように処理し続ける。
崩れない。落ちない。乱れない。
まさに王者のレース運びを、GPSで寺嶋選手の走りを見たものは見せつけられたに違いない。
レース終盤:真の強さが浮き彫りになる
ミドルといえど、終盤は体力も集中力も限界に近づく。
スピードがでるパートとファインなオリエンテーリングが求められるパートが交互に迫り、
プレッシャーが一気に押し寄せる局面である。
しかし寺嶋は、最後まで自分を見失わなかった。
スピードがでるレッグでも読図精度を落とさず、冷静に抜ける。
終盤の最長レッグを越えた時点で、勝利はほぼ確定した。
寺嶋選手を応援する声が高原に響き渡る中、最後一歩まで力を緩めず、全力でフィニッシュ。

数字が物語る「完成された勝利」
- 巡航速度指数:98.5(全参加選手中、圧倒的なトップ)
- ミス率:6.6%(同じくESクラブ員で6.4%でトップの小林 透哉選手についで、2位)
爆発的なスピードとフィジカルでねじ伏せる勝ち方ではない。
ミスを極限まで削ぎ落とし、積み重ねた“完成度”で勝ち切る。
これこそが、ロングを制し、ミドルを制した漢のオリエンテーリングだ!

ロング王者から、「学生最強」へ
ロングディスタンスを制する持久力とルート選択。
ミドルディスタンスを制する判断力と精度、そしてスピード。
異なる能力を要求される2種目で、ともに頂点に立ったという事実。
それは、寺嶋謙一郎が“どんな条件でも勝てる選手”であることの証明に他ならない。
最終学年。
最後のインカレ。
その舞台で見せたのは、4年間の集大成であり、学生オリエンテーリングの到達点だった。

ES関東Cが誇る、絶対王者 寺嶋謙一郎選手
2025年度 日本学生オリエンテーリング選手権大会
ミドルディスタンス優勝。
そして、
インカレ・ロング/ミドル 二冠達成。
この偉業を、ES関東クラブは心から誇りに思います。
学生オリエンテーリングの歴史に、確かに刻まれた大会となった。